最近朝起きても、まだお日様が出ていない状態です。こうなってくると本当に冬がすぐそこに来ていると感じられて今年中にしなくてはいけないことを考えます。そして意味もなくせわしない感覚にとらわれてしまうのです。そんな朝、ベランダから空を見るとシリウスが輝いています。濃紺の空に光る一等星は心を落ち着かせてくれるようです。
作品を描く上で必要な道具はたくさんあるけれど、筆頭にあげられるのが絵の具と筆だと思います。私にとって筆はとても大切で自分なりに大きさや形にこだわりをもっています。一番使うのがフィルバードという蒲鉾形をした筆です。そのフィルバード形の筆でもメーカーによって毛足の長さや毛の巻き方に違いがあるのです。同じサイズでも毛の量も違います。同じ種類の毛(マングースとかテンとか)でも柔らかさが違ったりします。ですから、使う筆が自ずと決まってきます。
そして思いっきり厄介なのは...同じメーカーの同じ種類の筆でも使い心地が違うことがあるのです。というか、違うのを前提として考えないといけないくらい違うのです。もちろんメーカーの手落ちではありません。メーカーは全力で作っています。ですが自然の毛を使って筆を作っているわけですから、動物の生息地や個体のちょっとした違いで変わってしまうのだと思います。見た目ではわかりません。ですから使ったとこでの判断です。そして使いやすい筆は頻繁に使うようになります。今度同じような筆に会えるかわからないから捨てるに捨てられず毛がすり減ったものも使っている次第です。
今もアトリエにはそういう筆が何本かあります。新しい筆を買っても捨てにくくヘロヘロ筆は筆立てに鎮座しているのです。