★展覧会情報★

 

 「松沢真紀油彩画展‐LUMIÉRE-」開催にあたって

 

 

 

 春の訪れを感じる季節になってきました。桜の蕾が日に日に膨らみ、今にもはじけそうです。昨年は新型コロナウイルスの脅威に私たちは疲弊し、心安らかでない中で過ごしてきました。一年以上続いたウイルスとの戦いですがワクチン接種も始まりました。これからは、防御から攻めに転じていけることを祈っています。そして明るい未来を迎えられることを願います。

 

このたび、日本橋にある老舗の書店・丸善日本橋店にて2021年3月24日(水)から3月31日(火)に油彩画展を開催することになりました。この会場は、私にとって初めての個展です。

 

丸善と聞いて私がすぐ思い浮かぶのは、小学生の時に教科書に載っていた梶井基次郎の小説「檸檬」です。主人公がガチャガチャと積み上げた色とりどりの画集の上にレモンエロウの檸檬をぽんと置くという文章のくだり。この表現はとても美しい言葉で綴られています。絵画のような色彩を感じました。レモンエロウという言葉以上に強烈な黄色を感じました。表現方法は違いますが、私も作品をご覧になった方々に後々まで残る印象深い展示をしたいと考えています。文学にも絵画にも縁の深い丸善日本橋店で展示を開催できることを光栄に思っています。

 

3月の季語「啓蟄」は「冬ごもりをしていた虫が這い出る」ということを意味しています。このような状況下で気分がふさいでいた皆さんが、少しでも気分転換できるよう、優しく包み込む光にあふれた作品を40点あまり展示する予定です。会期中、私は毎日会場にいます。そして作品を通して、ご来場いただいたお客様さまざまなことを語り合いたいと考えています。皆様のお越しを心よりお待ち申し上げます。

 

                                    2021年 松沢真紀