かわいそうなゴーガン

 急に、講演会を頼まれて、慌てて資料を作っています。印象派から二十世紀美術の流れを解説し、皆さんに親しみを持ってもらおうという趣旨の講演です。改めて色々読んでいますが、ゴーガンってかわいそうな人だなあと実感しています。
 ゴーガンは証券仲買会社の社員で妻と五人の子供を持つ、印象派のコレクターでした。一般に家族を捨てた人、ゴッホを追い詰めた人、タヒチに住んで梅毒にかかり画家としての名声を得る事なく死んだ人、ついには死後、「神の敵であったゴーガンという名の卑しむべき人間」と司祭によって墓碑銘に刻まれた人として悪役になってしまいました。多分その風貌も手伝って、、汗

  しかし、現実にはそうでもなかったようです。画家に転身したのも、周囲の印象派の画家におだてられ(コレクターに絵を褒めない画家はいない)たため、家族を捨てたのではなく捨てられたようですし、ゴッホのような人と長い間暮らすのは尋常でない忍耐が必要だったでしょう。カトリックとのいざこざもどうも小競り合いの末だったようです。

 そんなゴーガンにちょっと同情しますが、それだけ純真な人だったのではないでしょうか。悪役然とした顔だって彼のせいではないのですから…(>_<)