リスペクトアーティストNo.6

 私はずっと美大に行かなければアーティストになれないと信じてきました。それがそうでもないようだと知ったのは大学を出てからです。一般大学を出て、就職し、その後脱サラ(?)して一転アーティストを目指し私とともに展示している作家に何人かで会うことができました。

 その一人がミチヨさんです。彼女は大学時代、専門的にアートを学んだわけではなく、勉強して就職しました。その後作ること、表現することの面白さに目覚め、作家活動をスタートした方です。

 

 スクラッチという稀有な技法を使い日本の神話を題材に黒が美しいシャープな絵を作っています。とても大人びた作品だと感じます。

 

 スクラッチには「ひっかく」という意味があります。その通りで彼女はボードを専用のニードルでひっかき図像を生み出します。そこには、古くから伝わる神話の神々(天照大神、木花佐久夜毘売、、、)十二支(猿、鳥、、、)青竜、白狐等々この世ならざる者が描き出されています。それらは、木花佐久夜毘売古くからずっと私のそばにいて見守ってくれてる何かがいるということを再発見させてくれます。恐ろしい者ではなく、包んでくれるものなんだと感じさせてくれます。きっとそれらの瞳が、彼女の目と同じように慈愛にみち、暖かく輝いているからだと思います。

 社会経験が豊富な方です。英語が堪能で物おじせず、お客様や百貨店の方、仕事上関係がある方への配慮が行き届いていて、私は幾度となく彼女の助言に救われました。仕事を辞め、この世界に入った覚悟ある方です。そこには私には想像できない深い葛藤があったのではないかと想像します。いつも笑顔がやさしい彼女も、一本筋の通った「道」を持った強い人物だと感じます。