イレブンガールズは、全国から集まったアーティストユニットなので、私は訪れたことがない場所のアーティストとも知り合うことができました。奈良県出身、版画家の田村洋子(たむらひろこ)さんです。
彼女は浮世絵などに代表される版画の多色刷りを使ったやわらかい色彩の作品を制作します。お料理が好きで、家でもバジルとかいろいろ育てているようで、それをモチーフにしています。自分の身近なものを組み合わせて、大小関係を変えたり、固有色を排除することで独特の世界を作っています。夢とうつつの狭間のような、レム睡眠とノンレム睡眠の間にいるような、、、心地の良い気分を私に与えてくれます。
私は大学時代に体験授業で多色刷りの版画を経験しました。版を重ねる時に少しでもずれてしまうともうだめになってしまうし、絵の具の量によってかすれてしまったりどんなにやってもうまくいかずほとほと疲れ果ててしまった記憶があります。「版画家はミリ単位で繊細なんだ!」と実感しました。修正の効かないテクニックなのです。
普段の彼女はそんな苦労をおくびに出さず、はんなりとやわらかい人です。おしゃべりだったり、みんなを引っ張っていくとかそういうわけではないけれど、いつもそばにいて当たり前、後ろから私を支えてくれる存在です。アーティストは作品がよければよい、自分が目立つ必要はないということを態度で表しているのだと感じ、学びたいと考えています。
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