私がキャンバスに使っている塗料の主成分は天然白亜(ムードン)です。ですから私も作品の下地は白亜地といわれます。白亜に、チタニウムホワイトの粉、膠水(ゼラチン水)を混ぜて、吸収性下地を作ります。こちらも胡粉と同じで炭酸カルシウムです。ヨーロッパでは、土地に白亜の地層が多くあるそうです。大昔のプランクトンの堆積物がそれを作っているといいます。
下地用は粒子が荒いので私は仕上げ用を混ぜて使います。自分ではそちらの方が塩梅がよいような気がしますが、気のせいかもしれません(笑)。胡粉を使っても、白亜を使ってもどちらでも保存の問題ではないような気がします。粒子の大きさが違うので、使いやすさの問題かなと思います。ただ絵の具を選ぶ時も、キャンバスの素材(綿か麻か?)を選ぶ時も、その他もろもろの素材を選ぶとき気にしないといけないのは、日本特有の環境です。ヨーロッパと違い湿気が多く、近年では亜熱帯にちかい日本。木枠は湿気でゆがみますし、カビが発生する危険性もあります。それらを考えて絵作りをしていかないといけないなと意識しています。
※作品は「キス(テッセンとてんとう虫)」14×18㎝・油絵
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