制作手順

 私は、油絵画家です。油絵は15世紀に生まれ今でも多くの作家がその魅力を引き出そうと取り組み続ける奥深い素材です。私ももちろんその一人です。油絵を描くにあたって、絵の具はもちろんですが、キャンバスが必要になってきます。今では市販のものが画材屋さんで売られていますが、より自分に合ったキャンバスを作ることから私の作品作りは始まります。

 これがキャンバス作りの工程です。左端の黄色い布は綿布です。それをというゼラチンを使って板に接着します。次に、白い下地材を塗ります。下地材は、石膏と、水・膠を混ぜたものです。そしてそこに顔料を混ぜた液体を塗ったものが灰色の部分です。顔料とは色の粉で私はテールベルト(緑土)を好んで使います。(写真では灰色ですが・・・)


 テールベルト…緑土、Green Earth、Terre Verte。非常に古くから絵画に使用されている土製顔料で、テンペラなどの水性の技法で使用すると明るい緑色になる。産地により色調が大きく異なり、淡い灰色の緑から暗い緑まで様々であるが、全般的に現代の合成顔料よりずっと控えめな緑である。西洋絵画ではかつてイコン画の肌の下塗りに使用したことで知られている。(西洋絵画の画材と技法より)

 

 この色はあまり上に使う色の邪魔をしませんし、使いやすいなあと思っています。青系の色で描いても青が冷たく感じないで温かみのある青に感じられます。リューベンスなどが好んで使っていたようです。白い色を最低3回塗って、灰色を1度塗り、やすりをかけて仕上げます。こうすると市販のもの土地だってつるつるできめの細かい下地が出来上がるのです。私は具象作家なので、細かな描写には市販のものよりこちらの方が勝手がよいようです。


 また、この方法はそれこそ15世紀から行われてきた手法ですから耐久性に関しても折り紙つきです(^^)作品は購入された方の家でずっと楽しんで愛でてもらいたいものです。ですからこういった準備はしっかりと行わないとと考えています。